


ぼくはドロップス。
カンカンの中にいる。
さっき、仲間が食われた。蓋が開いたと思ったら、ひとり出されたんだ。
どうしよう。ぼくは底のほうにいるからまだ大丈夫だが、ぼくの友達が上のほうにいる。
悲鳴が聞こえた。また食われたんだ。
それからしばらく経ったが、蓋は開かない。食べるのをやめたんだ。
一安心したが、すぐに一日経ってしまった。
持ち主のニンゲンは、また蓋を開ける。
いやだ、聞きたくない。友達の悲鳴が聞こえる。
その直後に、友達が嚙み砕かれる音が聞こえてきた…
ぼくもこんな風にされちゃうのかな。
怖いよ、いやだよ…
それから一気に仲間が減っていって、気づいたらぼくと仲間三人になってしまった。
病身のコチコチという音がぼくの命を削っていく。
ぼくは仲間三人と怖がっている。
また一人食われた。
二人の仲間はぼくと身を寄せ合ってぶるぶる震えていた。
また一人取り出されて食われている。
泣き声が聞こえてくる。
ついに二人だけになってしまった。しばらくすると、ぼくら二人は同時に出された。
一緒に口の中に入れられた。
仲間を食った極悪人は、かわいらしい少年だった。しかしそんなことは関係ない。呪い殺してやる。
この、溶けていく体と消えゆく意識の中で、ぼくは固く思った。
絶対呪い殺してやる、仲間のカタキをとってやる。
許せない、許せない…
こんなガキは死んでしまえ。地獄におちてしまえばいいのだ…
やってやったぞ。
あの極悪人が、アメを喉に詰まらせて死んだ。
あいつの親が泣くところを見て、清々した。
ぼくはまたアメを食ってる極悪人を殺そうと思うよ。
ということで今からあいつの葬式に行ってくる。
みんなが泣く顔を見られたらいいな。
うへへへ、あいつの姉ちゃんなんか、行く前なのに泣いてやがる。
あいつの死に様を話してやろう。
あいつがぼくの仲間を喉に詰まらせたとき、周りに誰もいなかった。
「残念だったね」と思った。
そのまま、声も出せないままもがき苦しんで、あわてて姉ちゃんの部屋に駆け込んだ。
そんであいつは姉ちゃんの背中を叩いたが、姉ちゃんが振り返って「大丈夫!?」と言うとあいつは倒れて動かなくなった。
姉ちゃんは「四郎!?大丈夫!?息できる?」だかなんだか言ってあいつをゆすったけどぼくが呪い殺してやったから大丈夫なわけがない。
あいつが喉に詰まらせたアメは、特に大きくて溶けにくかったからね。
この時点ではまだ生きて苦しんでいたが、姉ちゃんが母ちゃんを呼んでくる頃にはほぼ死んでるような状態だった。
顔色悪すぎて思わず笑っちまったよ。
顔真っ青にして窒素してるなんて、コッケイにもほどがあるよ。
さっきまで真っ赤だったほっぺたも、青白くなっちゃってねえ。笑うしかなかったよ。
で、あいつの母ちゃんは医者を呼んだ。
まもなく医者がきて、あいつを担架に乗せて運んで行った。
病院に着いた頃にはもう完全に死んでたよ。
あとからあいつの父ちゃんも来て、母ちゃんと抱き合って泣いてた。
話してるうちに葬式が始まった。
お経が終わった。みんな棺桶に花ねじ込んでる。
火葬場に着いた。
ぼくは霊だから火の中に入れる。
だからあいつが燃えてゆく様を見ていてやろうと思う。
火葬が終わった。
骨上げが始まった。喉仏くらいには手を添えてやった。
姉ちゃんが、泣きすぎて手が震えて骨を落としやがった。
ぼくは笑い転げた。
目の前で死なれたんだから、トラウマだよな。ざまあみろ
で、骨を落とした姉ちゃんはその場に座り込んで号泣した。それをなぐさめる家族。
実にバカバカしい。
家に帰ったあとも、みんな泣いてた。
「まだ九歳だったのに…」とか言って。
まあ、この辺でおしまいにしとくよ。さようなら。